Industar-10 50mm F3.5 レビュー
ロシア製レンズの、Industar-10 50mm F3.5 を買った。送料を除くと eBay で 29$、たまたまなのか、ウクライナからたった11日で届いた。外見がライカのレンズ Elmar 50/3.5 のコピーと言われる、ライカLスクリューマウントの沈胴式のレンズだ。沈胴式レンズ、外観がTHEオールドレンズという感じで、一度は使ってみたかったのだ。
なお重さはキャップなどを除いたレンズのみ実測111.5g(あまり重さについての記述を見かけないので記載する)。
オールドレンズは個体の当たり外れがあるというというけど、このレンズ個体はヘリコイドが軽い(もうちょっとグリスがあって丁度よい摩擦があると良いけど、ヘリコイド用グリスは高い...)ぐらいでほかは問題なく使えている。外観も年代を考えるとオーバーホールして磨いたんじゃ、というぐらいの綺麗さだった。
沈胴式レンズはその名の通り、収納時は沈胴してるのでレンズ筒が後ろにせり出す。これがフランジバックが短いミラーレスだとイメージセンサーにあたってしまう可能性があるのだけど、少なくとも手持ちの Industar-10 + a7C ではわずかに隙間ができてセンサーに当たらず収納ができた。同時に Industar-22 も購入したのだけど、ざっくりとライカLスクリューマウントからせり出した長さを図ると、Industar-10が18mm, Industar-22が21mmほどでIndustar-10のほうが短い。
【Leica】検証!α7 で Elmar M50mmは沈胴できる!? の記事によると、a7では20mmでぶつかった、ということなので、18mmはギリギリのよう。なおぶつかると解っている場合、レンズ筒にセロファンテープなどをつけて厚みを付け、ぶつからないようにするテクニックなどあるみたい。イメージセンサに強くぶつかったらセンサーが使い物にならなくなるだろうからなぁ…。
また、Industar-10/22/50 には無限遠ロック機構があるのだけど、これがマウントアダプターと干渉する、ということがどういうことなのか理解する。ロック解除のためにボタンを押し込む必要があるのだけど、これがアダプターにぶつかってはずれないのだ。
買ったものでは Industar-10は干渉し、22は問題ない(使っているマウントアダプターのKF-LM-5075はロックの干渉を避けるため、アダプタ外周の1/3ぐらいに凹みがあって、22のほうはそこにうまくロックが当たる)。ただ、オーバーインフのため、無限遠ロックを外した状態でも無限遠にピントが合うので大きな問題はなく、この状態で使っている。ヤスリで削ったりしてロックをなくす方法もあるみたいだ。
さっそく Industar-10 をつけて散歩をする。ほとんど開放の F3.5 で撮っていて、ちょっと、いささか、だいぶピンぼけしていたので昼間だしもっと絞ればよかった、とPCで見返して思う。だいたいピンぼけしてる。
THEみなとみらい的風景。
青が階調いじったんじゃ、というぐらいちょっと偽色っぽい青々した写りをすることも。これはRAWからなにもいじらず現像。
レンズへ斜めの光源が入ると、斜めの虹(フレア)が出現する。
逆光だ!フレアだ!ゴーストだ!と思うシーンでもあんまりフレア・ゴーストが出ない。
好みかなーと思う写真は大抵空が写っている写真だった。空の色が好み。まぁ撮っている写真の大半に空が入っているから、という事もあるのだけど…。
最短焦点距離は1mなのだけど、マウントアダプターヘリコイドせり出しで4mm伸ばすと、最短撮影距離は50cm弱ぐらいかな。その距離で撮影。
丸ボケはF3.5なのであまり出ない。焦点距離1mだとこれぐらい。
焦点距離50cmぐらいでこれぐらい。
沈胴式のIndustar(というか大抵の大量生産されたロシアンレンズ)は安く手に入り、遊びでも買えてしまうお値段なので、一つ持っておくと楽しいかもしれない。というか大抵の安価なオールドレンズは一つ持っておくと楽しいかもしれない、と言えてしまう。