あるいちにち

つい、やらなくてもいいようなことを、たくさんやってしまった一日。AI Agent により、以前ははやればできるが時間かかるのでやらない・やるべきでないと判断していた開発が雑指示で出来てしまう。それらは本来優先度が高くないのだけど、10分ぐらいで終わるなら、とついやってしまう。設計・実装的には無駄なコードが増えがち・チーム共有の他人への認知負荷も発生するのでなので、マイナスですらある。
今までは数時間〜数日かかった開発が物の数分〜数十分出てきちゃうので、成果が出たと勘違いしてしまうが、むしろマイナス。本末転倒である。もっと考えを広げたり深めたりする時間に使う分だが、AI Agent は毎度ガチャが発生して射倖心を煽る(短時間で良いものが作れるかどうかはギャンブルみがある)からなぁ。issue, PR をこなすと成果が出た気になれてしまうのも良くない。
以前某社にソフトウェアエンジニアとして入社した時、目標設定の際に、開発はしなくて良いから、目標を徹底的に考えて。この目標は小さな積み重ねではなく、到達が非常に難しいが、達成した時に大きな価値につながるものね、というお題をこなしていた時期が1ヶ月ぐらいあった。
目標承認も、上司の部長承認、その後社長承認を経て、初めて開発に取り掛かれる、というものだった。とりわけ社長承認が「うーん、本当?なんか違うんじゃないかなー」という禅問答のような内容で、まぁ解も特になかった(と思う)のだけど、エンジニアだけど手を止めて開発せずに、徹底的に考える、みたいなプロセスには非常に価値があった。何も価値を出せていない焦り(何かを開発すると、とりあえずは価値が出せている感じなり安心できる。新参者は新しい組織で居場所が作れてないから尚更)はあって、入社早々転職を考えたりもしたけど、今振り返るとありがたい思考プロセスであった。サラリーマンなので給料はもらえてたしね、ラッキー。
個人的には、今世に出ている AI を使ったプロダクトはほぼ失敗すると思っている。技術進化が速く、あっという間に時代遅れになるから、プロダクトリリースし、そこから進化し続けない限りは失敗する。ほとんどのプロダクトはスタートが今見えているゴールであるし、ユーザが定着するとそれはそれで破壊的変更を入れることが難しい(裏側の見えない部分を徹底的に良くする、みたいな方向になる)ので、AI Agent でガット作っても、ガットの作り直しはリリースしてからは出来にくい。
またAIを使わないプロダクトは、AIによって代替されるなら、今作っても意味がないので、プロダクトを成功させる難易度が、プロダクト実装は簡単になったが、むしろ世の中の流れ的には、非常に難しくなっている。
AI における開発生産性向上も、結局 AI を使ったベストな開発手法なんてしょっちゅう変わっていっているので、あんまり追いかけてもなーと思っている。プロダクトを作るのが難しい今、開発生産性が上がっても事業価値は上がらないから、なら別に組織としては上げなくても良いのでは、とも思っている。時間が経てば、ある程度汎用的なAIとの協調開発手法が生み出されていくわけだし。
例えば今流行りのハーネスも、AIと協調開発しやすい環境を整えましょうやっていき〜〜という感じで、今今AIにおける開発生産性を上げたいならやりましょう、となるのだが、将来 AI ready cloud みたいな完成系が出たタイミングで移行する、でも良いのでは。
流行りのループなんかも、プロダクトにおけるループゴールの設定を考えるには、結果組織が何をゴールにするべきか、そのゴールを提供するための判断材料は、そのためにはコンテキストが必要だからさまざまな方法、例えば Claude Tag を用いて slack でのフロー情報を集めたりして、組織最高のコンテキストメモリを作ってくぞ、みたいな話になったりしがちだが、そのコンテキストメモリの作り方も今後変わっていくだろうし、いやいやそんなみんながデジタルな場所に情報は出さないでしょ、もっと別のところから変えていくべきでは、などとも思ったりする。
組織の価値提供・向上のボトルネックは開発やデジタル作業から別のところに移るのは間違いないので、ではそのボトルネックは自分の組織ではどこになって、どういうふうに変えていくと良いのでは、といった解を考え、変えていくことに時間をかけるべきなんじゃないかなぁ。言うが易しだけどね。
あれこれと無駄なことをやり過ぎてしまった1日を自省しつつ、なにもやらないこと自体が価値になったりもするんじゃないかなー、となにもしなかった1ヶ月間を思い出したりしていたのでした。