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書籍 Kaggleに挑む深層学習プログラミングの極意、を読み終えて

表題の書籍を読み終えてたので感想を。一言で言うと、短い内容にKaggle関係なく機械学習のエッセンスがぎゅっと詰まったインデックスとして解りやすい良書、機械学習初心者にもKaggle初心者にもオススメである。また自分(いちおう自分はKaggle Competitions Master である)も理解が浅かった部分の理解が進み、知らなかったテクニックもいくつもあり、機械学習エンジニアやKaggle有識者も得られるものが多いはずだ。

Kaggle に挑む深層学習プログラミングの極意 画像

なお書籍、Kaggle に挑む深層学習プログラミングの極意は著者の一人である石原祥太郎氏から献本いただいたものである(ありがとうございます)。


この書籍の良さの一つは短いことである。索引を抜くと約200Pで、機械学習関連は分厚い書籍が多い中、程よくまとまっている。理論を説明する本はきちんと説明が入るので長くなるし、良くない本は分かりにくい内容でただただ冗長に説明、と言うことになりがちだ。

しかしこの本では、的確かつシンプルに説明しており、包括的に眺めることができる。書籍の索引を見ると、Kaggleのみならず機械学習の実務一般で必要な技術やテクニックが数多くのっていて、この技術は何故必要なのか・どんなときに使うべきなのか等々が記述してある。3章からは実際のKaggleのコンペ課題に対して、テクニックや考え方を適用しスコアを上げていく形式なので、実際に効果があるというのも解りやすく伝わってくる。さらに詳細が知りたい人には、文章に散りばめられている参照先のURLや論文を見れば良いし、大切なキーワードを知れるので検索なり書籍なりで知りたい知識を深めることができる。

また主で取り上げているモデルも、勾配ブースティング決定木・ニューラルネットワーク(CNN・RNN・Transformer)・アンサンブル向けに線形モデルと、性能が良いので実務でもまず初手で検討するモデルばかりである。このある意味割り切った形の紹介も、書籍が冗長にならない要因の一つであろう。

もし自分が機械学習を学び始めた時にこの書籍に出会っていたら、横道にそれず性能面で良いモデルやアルゴリズムを知れ、データの見方や検証方法等々をシンプルに知ることができたであろう。初心者では軽く読んだだけでは理解できないことも数多くあるであろうが、最初のうちは何のキーワードが重要そうか、という右も左もわからない状態なので、このキーワードは大切そう、必要に応じて調べていこう、というキーワードにたくさん出会えるので、それだけでも得られるものが多い。

また、もしKaggleを始めるタイミングで出会っていたら、Kaggleコンペティションを始めるにあたりぶつかるさまざまな疑問がかなり解消されていただろう。幸いにも自分は初めてのKaggleコンペはチーム参加で、自分よりも圧倒的に優秀なチームメンバーにKaggleのイロハを教えてもらえたのでなんとかKaggleコンペ自体流れの理解ができたが、この本があればKaggleの流れを掴むことができ、初めてのコンペでも理解が進んだところから開始することができたであろう。

というわけで冒頭に書いた通り、短い内容にKaggle関係なく機械学習のエッセンスがぎゅっと詰まったインデックスとして解りやすい良書。ぜひ色々な方に読んでほしい。

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