Rails における信頼とは
アンカテ(Uncategorizable Blog) - Rails的世界の「安心」と「信頼」の力学
自分の場合 Rails における信頼とは DHH (Rails 作者) のセンスだと思ってます。Rails はマーケティング、設計思想、共に成功したと言えますが、そのうちエンジニアの自分が興味があるのは設計思想なわけで。
最初 Rails に出会ったときは、日本では一年遅れでやってきた「Rails って簡単に素早く Web アプリケーションが作れるよね」といったスピード感に Rails ってばスゲー、と思いましたが今は違います。ここら辺は結局フレームワークに慣れれば、他のフレームワークでも大概は出だしのスピード感をつけることができます*1。
実際 Rails を使っていても、周りのその他たくさんの開発者と技術力の差をつけるには、結局 Rails のソースを読み、ネット上でかなりの情報が流れている Rails の情報を調べる事になります*2。ここのフェイズではある程度の Ruby の知識と、かなりの時間を喰います。で、どのフレームワークでもそうなのですが、問題はここの部分に時間を掛けるかです。フレームワークを小手先だけで使って仕事をするには別にこの部分は必要ありません。
仕事・趣味でそこそこの数のフレームワークをさわってきましたが、どれもある程度便利だなぁ、と感じることはあっても衝撃を受ける事はありませんでした。なので興味はそこで終わって一線を超えることはありませんでした。で、自分が一年以上前にかなりの時間を費やしてでも Rails に入れ込もう、と思った一番の要因は DHH のセンスに衝撃を受けたからです。
2005年の5月に Rails に出会った時は衝撃を受けました。http://naoya.g.hatena.ne.jp/naoya/20060718/1153226717 で書かれているように、Rails は別に技術的には超最先端!というわけではありません。ただそれらをフルスタックとしてまとめ上げ、Routes と Controller と Action マッピングでの直感的な C の実装が可能で、ActiveRecord パターンを使った簡潔かつ強力な M の実装、また Ruby という言語自体を大いに生かしたメタプログラミングとリフレクションにもう鳥肌が立ちました。いままでの自分が知る限りの Web アプリケーションフレームワーク 界隈にこんなセンスがある人が居ただろうか、いや居ない、と。
普通じゃないんです、 DHH のセンスは。その後の Ajax ブームでの速攻 Ajax 対応(prototype.js を組み込む + JavaScript Helper)や、RJS という JavaScript がわかんないなら Ruby で書いちゃえ yp! という感覚、ActiveResource 構想などもそうです。また膨大な数のパッチの取捨があって現在の Rails があるわけですがその選択など、なんかコイツはすげーぜ、と思わせてくれます。
技術的にできるエンジニアは数多くあれど、フレームワークへのセンスも兼ねそろえたエンジニア(そして DHH の場合は広報もですが)はまず居ません。そんなわけで 1エンジニアとしての自分が Rails を信頼して使っているの一番の大きな要因は DHH のセンスなんだろう、と漠然と考えたりしました。
ライド・オン・Rails Ruby on Railsを徹底攻略
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吉田 和弘 馬場 道明
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高橋 征義 かずひこ 喜多川 豪
アスキー (2006/07/03)
*1:この初速をつかむ感覚が Rails の場合は異様に学習コストが低いのがすごいところなのですが
*2:実際はネット上の情報はエゴサーチを斜め読み程度で良く、Rails の changelog を読んだ方がいろいろためになりますが